破産手続の種類について
破産手続は大きく分けて「同時廃止」と「管財事件」に分類されます。
これは状況に応じて裁判所が決定するもので、
どちらの手続きに振り分けられるかによって、費用や期間に大きく影響します。
なお、判断基準は裁判所によって異なります(全国統一の基準はありません)。
同時廃止
申立人の財産が、明らかに破産手続に必要な費用に不足する場合、裁判所は破産手続を終了します。
破産手続開始と同時に終了(廃止)するため、これを「同時廃止」といいます。
この場合、破産手続(債権者への分配等)は省略されて、「免責」に関する手続きに進みます。
「免責」とは、借金を返済する義務がなくなることをいいます。
そのため、破産手続がおこなわれる場合(管財事件)と比較して、費用は少なく、期間も短く(申立てから3〜4ヶ月程度)なります。
もっとも、免責不許可事由に該当する場合には「同時廃止」にならず、「管財事件」として扱われます。
管財事件
申立人の財産が、破産手続に必要な費用に足りる場合、裁判所は破産手続を進めます。
具体的には、破産管財人を選任し、財産を調査し、財産をお金にかえて、それを債権者に分配します。
これを「管財事件」といいます。
この場合、申立人は予納金(50万円〜)を納める必要があり、また、期間は6ヶ月から1年程度を要します。
また、裁判所によっては「少額管財」という運用をしているところもあります。
これは、財産をお金にかえる手続きが不要である場合など、破産手続が簡便なものになる場合の破産手続で、
予納金が安く済み(20万円程度)、期間も短くなります。
なお、少額管財は弁護士が代理をしている場合のみに限定されています。
免責不許可事由とは?
裁判所は、次のいずれの事由にも該当しない場合に、免責許可の決定をします(破産法252I)。
これらの事由を「免責不許可事由」といいます。
もっとも、免責不許可事由に該当したとしても、裁判官の裁量によって免責が認められる場合があります(裁量免責)。
- 債権者を害する目的で、財産の処分等をした
- 破産手続の開始を遅延させる目的で、財産の処分等をした
- 他の債権者を害する目的で、一部の債権者に弁済等をした
- 浪費やギャンブル等により多額の財産を失った(多額の借金をした)
- 破産手続開始の1年前以降、破産原因があることを知りながら、債権者を騙すなどして借金をした
- 帳簿などの書類を偽造・変造した
- 破産手続において、説明を拒否し、または、嘘の説明をした
- 破産手続を妨害した
- 過去7年以内に自己破産等をしている
- 自己破産手続について、必要な義務をおこたった
同時廃止と管財事件の判断基準は?
判断基準は、裁判所によって異なります。
一般的には、次のいずれかの条件にあてはまる場合には、「管財事件」として扱われることが多いようです。
- 現金が33万円以上ある場合
- 預貯金の残高が20万円以上の場合(複数口座ある場合はその合計)
- 保険の解約返戻金の額が20万円以上の場合(複数口ある場合はその合計)
- 自動車の売却見込み額が20万円以上の場合(複数台ある場合はその合計)
- 家財道具、その他の動産の売却見込み額が20万円以上の場合(複数ある場合はその合計)
- 不動産の売却見込み額が20万円以上の場合(複数ある場合はその合計)
- 住居以外の敷金額が20万円以上の場合(複数ある場合はその合計)